読み終えてなお・・・~ミステリ原稿・夜の獣たち~
2013年 07月 11日
どんよりと曇った雨雲で空一面を覆う日が
何日つづいたことでしょう。
湿度が高く、洗濯物の乾きが悪いです。
身体中がいやな汗でベトベトするので
シャワーじゃなくてちゃんとお風呂に入ります。
こんな灰色の空に似合う長風呂で読む本を探しましょう。
これにします。
~ミステリ原稿 オースティン・ライト著~
何年も前、ミステリ小説好きのかずこさんが図書館から
借りてきたのですが、この本は涼たた向きだよと手渡され
読んでみたら、ううむ・・・さすが母親。
娘の好みをよくわかってるな、と、
借り物では我慢できず、手に入れた本。
どれ、久しぶりに読み返そうではありませんか!
この小説は作中作という手法を取り入れた
入れ子構造になっています。
49歳の主婦スーザンはある日、別れて20年経つ前夫エドワードから
彼の書いた小説の批評をお願いされます。
物語は、エドワードが書いた小説「夜の獣たち」のストーリーと
スーザンの深層心理を交えながら、終始、スーザンを捉えて離さない
「漠然とした不安」を微妙なタッチで描く
推理小説というより、心理小説に近い内容となっています。
なので、推理小説ファンやミステリファンには
かなり物足りない小説でしょうが、人間が持ち合わせる複雑な気持ちが
大好きな涼たたの心をくすぐるに、もってこいの小説です。
スーザンはエドワードの原稿が届いてからというもの
いいようのない「苛立ちと不安」にかられ
なかなか原稿を手に取ろうとしませんでした。
やっと意を決して小説「夜の獣たち」を読みはじめますが
スーザンはそのストーリーに驚いてしまいます。
「夜の獣たち」は、なかなか残酷な内容で、
主人公トニーは奥さんと娘さんの3人で別荘へ向かう深夜ドライブ中
ハイウェイで暴漢に遭遇し、奥さんと娘さんは連れさられ、遺体で発見されます。
一年後、担当警部補から主犯が見つかったと報が入り・・・恐怖と嫌悪しか感じないような
恐ろしい計画を持ちかけられます。果たしてトニーの選択は!?
スーザンは、小説のなかでの遺体発見シーンを読んだとき
「あなた、殺したのね・・・」と、エドワードに対して裏切りにも似た怒りがこみ上げ
彼のどこに、こんな残忍な側面があったのか?考えます。
絶対、小説の奥さん=自分と重ね、スーザンの潜在意識では
エドワードに殺されたと感じていたハズですから。
過去の結婚生活、過去のエドワード、過去の自分・・・スーザンは過去を振り返り
なぜ、今になってこんな小説を自分に読ませるのか?エドワードは何を考えているのか?
スーザンに何をさせたいのか?・・・
小説を通して結婚していた当時には気がつかなかった
エドワードの知られざる一面を感じとり、あっという間に
スーザンだけでなく、読み手も不安の渦へ放り込まれていきます。
「夜の獣たち」には、小説として終わりが用意されていますが
「ミステリ原稿」では、スーザンの気持ちに終止符は打たれないままになっています。
スーザン自身、知らなかった自分の残酷な一面をのぞき見ることになった原稿。
平穏な日々を過ごしていたスーザンの心の狭間に投げ込まれた小石、「夜の獣たち」は
読み終えてなお、とどまることなく静かに彼女の気持ちに、われわれ読み手に
波紋を広げていくのです。
人間の気持ちは摩訶不思議です。
果たして、わたしたちはどんな側面をもっているのか?
鏡に向かって自問自答したくなる
じっとり湿度の高い梅雨にばっちりの小説「ミステリ原稿」でした。
何日つづいたことでしょう。
湿度が高く、洗濯物の乾きが悪いです。
身体中がいやな汗でベトベトするので
シャワーじゃなくてちゃんとお風呂に入ります。
こんな灰色の空に似合う長風呂で読む本を探しましょう。
これにします。
~ミステリ原稿 オースティン・ライト著~
何年も前、ミステリ小説好きのかずこさんが図書館から
借りてきたのですが、この本は涼たた向きだよと手渡され
読んでみたら、ううむ・・・さすが母親。
娘の好みをよくわかってるな、と、
借り物では我慢できず、手に入れた本。
どれ、久しぶりに読み返そうではありませんか!
この小説は作中作という手法を取り入れた
入れ子構造になっています。
49歳の主婦スーザンはある日、別れて20年経つ前夫エドワードから
彼の書いた小説の批評をお願いされます。
物語は、エドワードが書いた小説「夜の獣たち」のストーリーと
スーザンの深層心理を交えながら、終始、スーザンを捉えて離さない
「漠然とした不安」を微妙なタッチで描く
推理小説というより、心理小説に近い内容となっています。
なので、推理小説ファンやミステリファンには
かなり物足りない小説でしょうが、人間が持ち合わせる複雑な気持ちが
大好きな涼たたの心をくすぐるに、もってこいの小説です。
スーザンはエドワードの原稿が届いてからというもの
いいようのない「苛立ちと不安」にかられ
なかなか原稿を手に取ろうとしませんでした。
やっと意を決して小説「夜の獣たち」を読みはじめますが
スーザンはそのストーリーに驚いてしまいます。
「夜の獣たち」は、なかなか残酷な内容で、
主人公トニーは奥さんと娘さんの3人で別荘へ向かう深夜ドライブ中
ハイウェイで暴漢に遭遇し、奥さんと娘さんは連れさられ、遺体で発見されます。
一年後、担当警部補から主犯が見つかったと報が入り・・・恐怖と嫌悪しか感じないような
恐ろしい計画を持ちかけられます。果たしてトニーの選択は!?
スーザンは、小説のなかでの遺体発見シーンを読んだとき
「あなた、殺したのね・・・」と、エドワードに対して裏切りにも似た怒りがこみ上げ
彼のどこに、こんな残忍な側面があったのか?考えます。
絶対、小説の奥さん=自分と重ね、スーザンの潜在意識では
エドワードに殺されたと感じていたハズですから。
過去の結婚生活、過去のエドワード、過去の自分・・・スーザンは過去を振り返り
なぜ、今になってこんな小説を自分に読ませるのか?エドワードは何を考えているのか?
スーザンに何をさせたいのか?・・・
小説を通して結婚していた当時には気がつかなかった
エドワードの知られざる一面を感じとり、あっという間に
スーザンだけでなく、読み手も不安の渦へ放り込まれていきます。
「夜の獣たち」には、小説として終わりが用意されていますが
「ミステリ原稿」では、スーザンの気持ちに終止符は打たれないままになっています。
スーザン自身、知らなかった自分の残酷な一面をのぞき見ることになった原稿。
平穏な日々を過ごしていたスーザンの心の狭間に投げ込まれた小石、「夜の獣たち」は
読み終えてなお、とどまることなく静かに彼女の気持ちに、われわれ読み手に
波紋を広げていくのです。
人間の気持ちは摩訶不思議です。
果たして、わたしたちはどんな側面をもっているのか?
鏡に向かって自問自答したくなる
じっとり湿度の高い梅雨にばっちりの小説「ミステリ原稿」でした。
by mimojiro
| 2013-07-11 22:17
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