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愛犬みも次郎先生とのカントリーライフ


by mimojiro
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山姥の辞書から~見限る~

帰るとテーブルのうえに『白水社の本棚』が置かれていた。
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この『白水社の本棚』は出版社、白水社からのいわゆる~新刊のお知らせ~
なのであるが、日々、本から離れていく生活を送っている涼たたに「喝」を入れてくれる
貴重な新聞でもある。
山姥の辞書から~見限る~_d0237053_21465412.jpg

どれどれ、最近はどんな海外書物があるのかな?
山姥の辞書から~見限る~_d0237053_21471724.jpg

ニューヨーク公立図書館若獅子賞受賞作品!?
『ロン・カリー・ジュニア著~神は死んだ~』
おっ、面白そうなタイトルだ。
~「神の肉」を食べたあとに、知性が高度に発達した犬へのインタビューをはじめ
「神の不在」がもたららす「ねじれ」の諸相にポップな感性で切り込む~
ううむ・・・食欲をそそるような内容だなぁ。(*´∀`*)

お次は、稀代の語り部による、めくるめく物語!?
『アルベルト・ルイ=サンチェス著~空気の名前~』
~モロッコの港町に住む若い娘ファトマは、海辺の家の窓から水平線を
ぼんやり眺めてばかりいる。祖母はタロットカードを使い、孫娘の見せた変化の
理由が彼女の生まれた<欲望>であることを知る~
これまた、涼たたの好きそうな本ではないか???

ん~刺激されるこの2冊、要チェックだ。

ところで、この『白水社の本棚』には新作紹介のほかに
とても楽しみにしている『小池昌代エッセイ~山姥の辞書~』が掲載されている。
今回のお題は「患う」
小池昌代さんが原因不明の湿疹になり、いろんなドクターを受診し、
最終的にもたらされた彼女なりの「結果」をシニカルに綴っていた。
山姥の辞書から~見限る~_d0237053_21474672.jpg

涼たたは2012年5月に掲載された「見限る」という内容のエッセイが
とても印象に残っている。
だいたいフツーに生活していて「見限る」という言葉を使ったり
口にだすことはたいへん少ない(勇気がいること)ではないか!
それをパブリックレビューとして出すとは、小池昌代さん
ただもんじゃない。

~人を見限る、ということが、私にもあったろうか。~
ここからエッセイがはじまる。

~この言葉のきつさは、その瞬間が自分にはなかなか見えないことで
見限る人は、最後、静かに縁を切る。中略
人間世界は一筋縄ではゆかず、見限った人が、時々ゾンビのように
復活してくることがある。~
ここはなんとなく思い当たるフシがあるので笑ってしまった。

~ミカギルという音のなかには、縄をぐさりと刃物で切る音がしまいこまれている。
切られた瞬間は、幾度も書くが酷いものだ。
しかし切断の時には清々しい。癒着よりも一層、未来がある。
その人から自由になった喜び、爽快感。~
どんな人にもこの感覚はあるのではないかな?
それとも卑屈な涼たただから、小池さんに共感するのか??
それにしても最後の結びがいい。
~まぁ、いいか。こんなことを繰り返しながら、みんな死んでいく。
わざわざ「抹殺」しなくても。~

春にふさわしくないかもしれない「見限る」だが
春だからこそ、あえて爽快感を得るために
「見限る」ことも必要かもしれない。

最近、いろいろあったあなたへ贈る「見限る」。
いーんじゃないかな。
山姥の辞書から~見限る~_d0237053_2148965.jpg

by mimojiro | 2013-04-15 21:50 |